警備員の勤務時間はどのくらい?
「24時間365日警備だから安心」といった宣伝文句を聞くと、警備員は果たしてどれくらいの勤務時間なのかが疑問に感じるかもしれません。とは言え、もちろん現代において休みなしなどということはあり得ませんので、そこは心配ありません。これから就職を考える人のために、警備の仕事を勤務時間の面から解説します。
警備の仕事は「変形労働時間制」が基本
警備の勤務を知るためには、まず「変形労働時間制」という仕組みを知っておく必要があります。変形労働時間制というのは、その名のとおり、通常の仕事のように「1日8時間労働・週5日」というような典型的なペースとは異なる制度になっています。警備が必要な現場はたくさんありますが、シフトで休日は設けられるものの、出勤している時間はすべて稼働時間とみなされるケースがあります。
また24時間勤務の場合、8時間の仮眠時間が設けられているのですが、仮眠時間も労働時間に含まれるのが基本的な考え方です。理由は、何かあったらすぐ出動しなければならないためで、休憩とはいえ労働時間とみなされるわけです。
必ずしも同じペースでシフトに入るとも限らず、24時間連続で仕事に入る場合もあるため、変形労働時間制を採用することでトータルの労働時間を調整しているのです。これにより残業代の算出方法も一般とは変わりますし、給与の支払いタイミングも期間なども異なります。
1週間単位の変形労働時間制であれば、労働基準法で決められた法定労働時間40時間に従い、超える部分に残業代が発生します。1ヶ月単位の変形労働時間制の場合は1ヶ月ごとに労働時間が定められており、28日なら160.0時間、29日なら165.7時間といったように細かい定めに従い稼働し、超える分が残業代となります。
1年単位の変形労働時間制も
変形労働時間制は年単位でスケジューリングされることもあり、うるう年以外はトータル2085時間、うるう年は2091時間と労働基準法で決められています。これを超える場合は残業代が発生しますが、まとまった繫忙期があるような現場ではこのタイプが採用されることが多いでしょう。
もともと警備の仕事は24時間通し勤務だったり、夜間の通し勤務になりやすく、道路工事現場などのように年度末近くに繫忙期が訪れるケースも少なくありません。警備と一言で言ってもほんとうにさまざまな現場があり、雑踏警備や駐車場誘導・警備などは夏のイベントシーズンや正月・ゴールデンウィークなどの長期休暇が繫忙期です。
また大型商業施設がオープンするときなどにも忙しくなるタイミングがあり、必要なときに必要なだけまとまった仕事を務めるというのが大きな特徴です。人がやらなければならない仕事であり、とても大切な仕事ですので、年単位でしっかりスケジューリングして、間違いのない仕事を実施する警備会社が多いのです。
仕事の内容によって適用ルールは異なる
警備員の仕事にもさまざまな分類があり、仕事の内容によって適用されるルールが変わります。特に大きく分けられるのは、「監視業務」「断続的労働」、それ以外です。これらは労働時間のとらえ方が異なり、残業代の考え方も変わってくるので覚えておきましょう。
監視業務に該当するのは、監視がメインで心身の緊張がほとんどなく、1日の拘束時間が12時間未満、次の勤務まで休息が10時間以上ある業務です。労働基準監督署に届出る必要がありますが、これらすべてに該当すると監視業務となります。断続的労働は、基本的に待機で、緊張は低く危険な現場ではない業務です。巡視や施錠など業務は一時的で、1回の勤務で巡視は6回未満となります。
次の勤務まで休息が10時間以上あることや労働基準監督署に届出ることは監視業務と同様で、これら2つに該当する場合は1日8時間週40時間を超えても1.25倍の割増残業代は発生せず、休憩や休日に関するルールも適用外になります。もちろん等倍(1.0倍)の賃金は発生しますが、これらに当てはまるかどうかはあらかじめ確認しておきましょう。
警備員の勤務時間は基本的に「変形労働時間制」となっており、労働基準監督署の定めたルールに従い、1週ごと、1か月ごと、1年ごとにシフトが組まれます。休日も設定されますが、勤務日はまとまった時間が労働時間にあたるのが一般的です。
24時間勤務や深夜勤務などでは仮眠時間が設けられる場合もありますが、仮眠時間中も労働時間とみなされる場合があるのが特徴です。ただ業務の内容によっても適用されるルールは変わりますので、あらかじめ条件を確認しておきましょう。